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2007年6月 2日 (土)

「幸福な猫の淋しい背中」

「幸福な猫の淋しい背中」
ヒロコ・ムトー(著) /文藝春秋 (1990/09)

ヒロコ・ムトーさんは、二十歳頃まで子猫すら怖くて近寄れなかったそうです。

そんな彼女が、チンチラ・シルバーの五右衛門と暮らし始め、

息子のように愛し、やがては、外猫として黒猫ゴールド親子の面倒を

みるまでになる、そんな日々が綴られたエッセイです。

 

最初のエピソード、「空を見ている五右衛門」の話は

『そのものいわぬ背は、なんともいえず淋しげである』という言葉で終わります。

人間に愛され、他の猫に関心もなく過ごしていた五右衛門が

ある出来事をきっかけに外への羨望を持ちながらも、ゆっくりとあきらめていく。

でも、ムトーさんは、その背中に寂しさを感じるわけです。

S_chibikuunosenaka

(→空がみーちゃんと呼ばれ可愛がってもらっていたG家での写真。
この日、我が家にやって来たので、見慣れた景色の見納めです。)

本の話を続けます・・・

近所でもすこぶる評判の悪い野良猫が登場します。

金色の目の色から密かにゴールドと呼び、気になる存在。

そのゴールドが2匹の子猫を連れてやって来るのですが、

その姿をムトーさんも家族も、そして、いつしか五右衛門も受け入れていく。

 

ラストのエピソード「幸福な猫の幸福な背中」は、次の文で終わります。

Senaka_2

『いつの間にか、日常の一部として

互いを切っても切れない縁が

できてしまった黒い猫と白い猫は、

春のやさしい陽光につつまれ、

まどろむように、

その幸福な背中を見せている。』


この猫たちとの生活から、ヒロコ・ムトーさんは
猫たちを題材にしたミュージカルも作られたようです。

また、この本の8年後には、外猫ゴールド一家のその後が書かれた
「猫の遺言状」(文芸春秋)が出版されているそうです。

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コメント

♪ネコ丸さん♪
お久しぶりです♪タマちゃん、ミュウちゃんは元気にしてますか?
空に限らず、猫の背中って、何か物語っている気がしますね。
この空の写真はG家の方があとでくださいました。好きな写真です。
あどけなさの中にまた別の雰囲気があるように思います。

投稿: iharaja | 2007年6月 5日 (火) 05時41分

♪空ママさん♪
「なに考えているの?」とつい問いたくなるのが猫の背中。
解けない疑問をずっと心に持ちつつ付き合うのが猫。
ムトーさんはあとがきで、
『犬であれ猫であれ、動物を飼うことによって人間は自分自身を試される』と書かれています。
その背中に、私たちの心持ち自体の不確かさも投影されているのかもしれません。

投稿: iharaja | 2007年6月 5日 (火) 05時27分

♪union-jackさん♪
サビちゃんも我が家の霄も外の世界を知っています。
今は家の中で安全なんだけど…ってついね、考えちゃったりしますよね。
そう、年取るとね~って、union-jackさんが言うんなら、私なんて、涙腺、壊れた蛇口状態か~(笑)

投稿: iharaja | 2007年6月 5日 (火) 04時18分

空ちゃんの写真、哀愁ただよう、いい写真ですね・・・。背中がホント、物語っている・・・
写真を見れば見るほど、涙がポロポロ止まらなくなるのは、何故でしょうか?・・・

投稿: ネコ丸 | 2007年6月 5日 (火) 00時32分

猫ちゃんの本は読みたくなってしまいます。
ましてや、iharajaさんが紹介している本となるとね♪
でも本を読んで、猫ちゃんの気持ちに触れた時は切なくなります。。
そして、空はどう思っているのだろうと・・。
言葉で話せないだけに、猫ちゃんの気持ちが気になります。
私も空の後ろ姿に、物思うひとりです ^^;

投稿: 空ママ | 2007年6月 4日 (月) 16時15分

サビちゃんが外を眺める姿を後ろから見ていると
時折ふっと涙が出そうになる事があります。
空ちゃんの小さい背中、見上げる頭を見ていたら
また涙が出そうになりました。
歳取ると涙腺ゆるくて・・・(笑)

投稿: union-jack | 2007年6月 4日 (月) 11時57分

♪かおこさん♪
そう、悩むまでは行かなくても、つい考えちゃうことありますね。
私と出会って幸せなのかな~なんて・・・
外を見つめる背中を見ていると、何を考えているのだろうと思ったり。
でも、この本に出てくるご近所の中沢さんの言葉には勇気付けられます。
『猫っつうのは、人間と家を自分で選ぶ動物なんだよ。・・・あくまで自分の気持ちが主体なんだ。』

まだ細いので首輪があまってます。G家でこの日のために用意してくれた首輪です。

投稿: iharaja | 2007年6月 4日 (月) 06時43分

♪りりあんさん♪
そうです、そうです。水色の表紙カバー。
表側に五右衛門、裏側にゴールドの絵。朝倉セツさんのイラストで雰囲気あります。
五右衛門の去勢出術で自然をゆがめる行為と悩みつつ・・・など、自問することに共感しつつ、読みました。
猫好きのご近所さんや友人のエピソードもジーンと来ます。

投稿: iharaja | 2007年6月 4日 (月) 06時20分

この本もまた魅力的。是非読みたいです。さっそくアマゾンで検索しなきゃ!
あー、なんかムトーさんの気持ちわかりますねぇ・・。そうそう、このコは家にいて幸せだろうけど幸せだろうか・・・って複雑な心境?!猫の背中ってすごく語るんですよねぇ。
空ちゃんのちったい時、華奢ですね。お花のカラーがかわいいです。いつもの窓辺だったんですね。お引越しするなんて思っても見なかったかなぁ。

投稿: かおこ | 2007年6月 4日 (月) 00時01分

この本持ってます。
水色の本ですよね?(違ったっけ?)
どっかにあるはず・・・。
ずいぶん昔に買いましたよ。
買ったその日に読んじゃったけど、そういえば内容忘れたかも(~_~;)
もう一回読みたくなったわ・・・探してみよう~♪

投稿: りりあん | 2007年6月 3日 (日) 23時52分

♪星子さん♪
猫嫌いだったのに、のめりこんで行ったとムトーさんは、あとがきで書かれていますが、それほど猫は魔法を持っているのかもしれませんね。
猫たちに触れていると、本当に心が安らぎます。
後ろ姿を見るとき、そこには彼らだけの世界が広がっているようです。

投稿: iharaja | 2007年6月 3日 (日) 05時09分

とてもすてきなエッセイですね。私も読んでみたくなりました。「猫の遺言状」も気になりますね。
猫の背中っていつも何かを語ってる気がします。どうして猫って情緒にあふれているのでしょう。そして、猫に触れているとすごく心が落ち着きます。猫って不思議。ただいるだけで心を癒してくれます。すごい力ですね。

投稿: 三日月星子 | 2007年6月 2日 (土) 21時19分

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